カナダの語学学校に通っていた5月頃、ヤニックというドイツ人が同じクラスに入ってきた。
当時を振り返ると、「英語は母国語じゃないのにすげぇ喋れるじゃん!」と驚愕するのと同時に、自分の英語にコンプレックスを抱いたような気がする。
今振り返れば、そもそもドイツなどのヨーロッパ圏では英語は当たり前のように使われてること、ドイツ語そのものは言語学的に英語と近いということもあり、「そりゃそうか」と合点する。
彼は当時、たしか17歳だった気がする。
帽子のつばを後ろに向けて被っていた長身の子。顎髭のせいで「20歳の俺より絶対年上じゃん」と思ってたけど、自己紹介でセブンティーンて公言してたから拍子抜けした。年下じゃねぇかよと。
ほんまに17歳だなぁと思ったのは、やんちゃな言動が多かったこと。ティーチャー(学校では先生のことをそう呼ぶ風習があった、ミスター〇〇とかは使わなかったな)に対して、語尾にmanとかyou knowを多用してたので、「礼儀を重んじろよ!」とヤマト心が芽生えた記憶がある。
授業の中のアクティビティで、自分が得点をすふと「フゥーー!」と言いながら、小島よしおのみたいに上半身を揺らして煽ってたし。
それでもこのちょっとバカな感じ、嫌いじゃないなぁと、憧れみたいなもんを彼に抱いていた。シンプルに「自分が持ってないものを持ってるから」だと思います。みんなの前で、素で陽気になれるところが良かった。
いつかFacebookで繋がろうと思ってタイミングを見計らっていたら、気付いたときにはクラスに姿を現さなくなっていた。
おそらく、英語ができるからさらに上のクラスに行ったんだと思う。自分はアドバンスクラスにいたのだけど(ライティングが比較的得意でスピーキングが苦手な日本人はアドバンスに振り分けられることもある)、それよりさらに上。遠い存在だね。
ヤニックは今何してるのかと、ふと思い耽る、そんな夜。