『Winny』を観て

ずっと気になっていた映画をアマプラで観ることができました。

あらすじはこんな感じ(公式サイト引用)。

2002年、開発者・金子勇東出昌大)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開をする。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。
次々に違法コピーした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光三浦貴大)は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、開発者金子氏逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう…。しかし、運命の糸が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展する——。

なぜ、一人の天才開発者が日本の国家組織に潰されてしまったのか。
本作は、開発者の未来と権利を守るために、権力やメディアと戦った男たちの真実を基にした物語である。

 

実際に日本であった話です。

 

“殺人に使われたナイフを作った職人が逮捕される”と同じ事態が過去に起こったわけです。裁判ではその正当性について争われました。

 

ぼく自身パソコンやソフトの知識はないですし(むしろ苦手)、Winnyを使用したことがないのですが、予告をきっかけに事件の内容をしつこく調べるようになっちゃうくらい、何か惹きつけられるものをそこに感じました。

 

天才かつ純粋無垢な金子さんの生き様がとても愛くるしく、でもそれが足を引っ張り、国家権力に丸め込まれるというシーンには胸が痛みました。このなんとも言えない気持ちは、映画を観たら込みあがってくるはずです。

 

Winnyの裁判をしている最中(無罪が出るまでの実に7年!)に、アメリカではYouTubeiTunesなどの(今では超有名な)新しいサービスが生まれていました。

無罪判決から1年7か月後に、金子さんは急性心筋梗塞で42歳でこの世を去りました。天才が再び技術者として過ごせたのはたったの半年程度だったそうです。

 

金子さんがもし逮捕されずにいたら、日本にはイノベーションが起こっていたかもしれません。(不当な)逮捕によって日本の優秀な技術者が委縮してしまったことを考えると、やるせないです。金子さんに続いて新しい天才が生まれていたかもしれないのに、と。

 

日本の、特に若者たちに向けて金子さんが放った言葉が印象的です。

「ソフトを作っただけで捕まることはなくなったと思うので、若い人たちは頑張ってください」