短編小説が5つ入った小説です。
読書に対する集中力といいますか、耐久力がない自分には、こういう短編集が最適なのかもと思ってみたり。
どれもハラハラするものばかりで、特に「埋め合わせ」という章はゾワっとしました。
夏休みのある日のこと、小学校で働く教師の千葉センセイは、プールの水が抜けていることに気づく。この日、プールの管理をしていたのは千葉センセイであった。
どうにかしないといけないと思い、スマホでプールを満水にする方法を調べるが、〈小学校プール水流失 ミスの教諭ら249万弁済〉というニュースをたまたま目にする。
一度は管理職に事実をありのまま伝えようとするのだが、タイミングが合わなかったり、臆病風に吹かれ、誰にも報連相ができずにその日を終えることに。
その日の夜、「どのようにしてこの事実を隠蔽するか」という計画に舵を切る。次の日の早朝、隠蔽のためにいろいろと動くが、同い年の五木田先生と校内でバッタリ。
飄々としてて、彼の考えていることが読めないため、実は苦手としている千葉センセイ。そんな五木田とのやり取りはまさに心理戦。そして結末がもう鳥肌モンです。
学校という題材もあってか、めちゃくちゃ楽しく読むことができました。
小学校あるあるも盛り込まれているような気がして、校種によっては「わかるぅ」なんて思いながら読めるかもしれません。
ぼくは高校で働いてるので、プールには馴染みがありません。プールに関係する仕事・雑務も一切わかりません。
塩素入れるとか、水温管理とかいろいろあるとは聞いたことありますが、知識はその程度。
本の中にも出てきましたが、「教員らによる弁済」は、現実世界で実際に行われてきましたよね。最近で言えば、これかしら。
ニュース「プールの水の出しっぱなしで賠償請求を受けた小学校教員、請求額を納入」 : 企業法務ナビ (https://www.corporate-legal.jp/news/5447)
「うっかりミス」は誰にでも起こることなのですが、「個人に賠償請求をした」という事実が生まれたことに、「バカだなぁ」と思ってしまいます。
ヒューマンエラーでしか物事を考えられない組織に嫌気がさします。
誰がやってもそのミスが起こらないようにする仕組みづくりが大事で、それこそ、機械を導入すればどうにでもなるじゃないかと思うわけです。
システムエラー改善に向けて動けよと、自戒を込めて。