『あなたの燃える左手で』を読んで

本を選ぶとき、特に小説に関しては、知人やYoutuberの紹介で「読んでみよっかなぁ」となります。ネット主流のこの時代になると、どうも「ハズレ」を引くことが怖くなります。誰も読んだことがないであろう本を自ら開拓しようとはならないもんで。

 

時間を無駄にしたくないもんだから、殊エンタメに対しては、「有意義な時間にしたい」という思いが強くなり、厳しい態度をとりつつある昨今。

 

友達との集合時間、提出期限、仕事の終わる時間、そういったものにはルーズなくせしておかしなことですこと、なんて自虐をかましておく。

 

朝比奈秋さんの『あなたの燃える左手で』を読みました。

 

今回手にした本の内容を簡単に要約すれば、

医師の誤診で健康な左手を切断することになった日本人が、会ったこともない異国の地の人間(ドナー)の左手を移植するという内容。

これはただの移植の話ではなくて、「医学」「国境問題」「文化の違い」「愛」など、そういったものが同時に進んで行く、なかなかに壮絶なものです。

 

移植と聞けば、「臓器移植」だと思いますが、体の一部を移植するケースはまだまだ世界的に見ても少ないそうです。四肢を切断した人に他人の手を移植した臨床例はありますが、日本ではまずないそうです。

技術面、倫理面にも問題なく、しっかりとしたガイドラインがあるのに、日本の医師でやり出す人がいない不思議。

 

作中にも出てきますが、「なぜ日本では他人の手の移植ができないのか」という問いに、ハンガリー人医師(主人公の移植手術を担当した人)が、「なるほど」となる答えを提示しました。

 

「日本には国境がないから」

 

島国の日本は陸続きの他の国と違って、国境がなく海で区切られている。

うまく説明ができないけど、「他のものを受け入れる耐性」ができていないからなのかなと思いました。

結果的に敗戦、植民地化(アメリカナイズてやつでしょうか)してますが、かつては戦勝国で世界的に知られていた日本。

地理的にも強さ的にも他の国を寄せ付けなかったことで、「他と入り混じらない」国民性を生んだのかもしれませんね。

 

本を読めば、ぼくが云わんとしてることがわかると思います。

非常に興味深い本でした。