これからもタブーであるべきで

以前、『SAMANSA』という世界中のショート動画を集めた映像配信サービスのサブスクに登録してました。これがなかなかコスパよくて、月300円程度でいろんな作品が見放題です、それも何かしらの賞を受賞している作品が多いこと多いこと。

(ただ、半年前に退会してしまいました。日常的に見る時間をなかなか取れずにいたので。。でもおススメです!)

 

その作品の中に『ザ・ドールメーカー』という作品があり、それがものすごく印象的でした。幽霊が出ないタイプのホラーで、どちらかというと、タモリさんの『世にも奇妙な物語』に出てくるストーリーに近いかもしれません。

 

ネタバレが含まれますが、あらすじとしてはこんな感じ。だいぶ前に観た動画なので、細かい所までは覚えてませんが。

事故でひとり息子を亡くした夫婦が、「人形に魂を宿らせて、亡くなった子を生き返らせることができる男」と出会います。その夫婦は、その男と契約を結び、亡くなった息子を見事、生き返らせることに成功しました。

でも、その契約にはルールがありました。

・人形を制限時間内(たしか3分間)に必ず所定の場所に戻す

・時間さえ守れば何度でも息子に会うことができる

・時間を守れなかった場合、自分らの身にまずいことが起こる

 

これらのルールさえ守ていれば、さっきまで人形だったはずのモノが、亡くなったはずの息子というヒトに変わり、半永久的に息子と過ごせます。

こういった条件下で、その夫婦は以前のような幸せな生活を取り戻すことができました。

 

でもある日、妻がそのルールを侵してしまいました。息子が愛おしすぎて、所定の場所に戻すことを怠り、時間を超過してしまったのです。

 

でも妻には特に変化はりませんでした。むしろ、時間に拘束されることなく、息子と永久的に過ごすことができていました。

一方で、ルールを侵していない夫はその瞬間から絶望的な日々を送ることになりました。

というのも、妻が、「ただの人形」とおままごとのような生活をするようになってしまったからです。

「ただの人形」にひたすら話しかける、「ただの人形」にご飯を与え続ける、「ただの人形」に服を着させるなどなど。第3者からしたら奇行でしかありません。でも、妻は大まじめに一人の生きている息子として接しているし、子育てを楽しんでいる。

それをひたすら見せつけられる夫。

そんな不気味なストーリーです。

samansa.com

 

でも、考察すれば、はなからその息子は生き返ってはいなかったんだと思います。その夫婦二人が、3分間の甘い夢という名の妄想に浸っていただけで、一種の現実逃避。そして、いたずらに時が止まってしまっていたのかなと。

 

 

そのストーリーと今回のこの記事を重ねてしまいました。

newsdig.tbs.co.jp

「映像で」ではありますが、AIで死者を復活させるというもの。

 

「一度死んでしまったものを復活させること」、これを人間に施す行為や考え方に、どこか抵抗感があります。もちろん、叶うもんならそりゃ嬉しいのですが。。

どう頑張っても、死んでしまったら完全に再生させることができないのが人間であるはずです。ほら、細胞の数や性質が少しでも違うと、姿形がほぼ一緒でも、ソレはもう以前のソレとは違う生き物なわけで。

 

儚い命を宿した人間という生き物、だからこそ美しいんじゃないかというクサいようで、でも核心を突いた信念があるからそう考えているのかもしれません。

 

それに、過去に執着し過ぎることに意味はあるのか。

時折、過去に浸るのは良いと思います。でも、執着のあまり、自分の人生にストップをかけることは果たして本当に良いことなのか。

 

「多様性だからいいじゃないか!」と言われてしまえば何も返せませんが。育ってきた環境が違えばなおさら。

それこそ、これまでの人生で、幸いにも、自分の身近にいる大切な人を亡くした経験がありません。

また、『鋼の錬金術師』のようなアニメ(死んだ母親を生き返らせようと旅に出る主人公の話)で「死んだ人は生き返らない」という答えを幼い時に知り、その価値観で生きてきました。

 

でも、多様性だろうがなんだろうが、その倫理観だけは崩しちゃダメだろ、とは思っちゃいます。